ルビコンの決断 世界初!夢の自転車~坂道らくらく驚異の新感覚~ 2010年2月4日(木)
皆さんはどんな自転車に乗っていますか?健康志向の高まりで改めて見直され今 自転車ブームが巻き起こっています。デフレで格安な自転車が店頭に並ぶ一方で実は10万円もする高額な自転車が売れています。それが こちら!電動アシスト自転車です。日本で生まれたこの自転車。実は私たちの未来の生活を変えるある可能性を秘めているんです。
기원전49년 고대로마
장군 카에사르는 원로원을 향하여 운명을 걸고 루비콘강을 건넜다.
격동의 21세기 지금이야말로 커다란 결단이 요구되고 있다.
자전거업계에 혁명을 일으키며 자전거매장의 많은 공간을 차지하고 있는 전동어시스트자전거.
현재 15대중 1대는 전동자전거가 차지하며 폭넓게 보급되고 있다.
그 매력은?
요즘 주부들의 생활속에서 빼놓을 수 없게된 전동자전거.
그 선두주자는...
언덕길에서 페달링이 힘들때 전동모터가 도와주는 획기적인 자전거였다.
자전거제조 경험이 없는 야마하가 왜 이와 같은 자전거를 만들려고 했는가?
높은 성능은 물론 젊은이를 생각한 스포티하면서도 세련된 디자인이 지지를 받고 있는 이유다.
그러나 1980년대에 들어서 상황이 돌변하며
주력이었던 오토바이 판매대수가 급감하며 꿈의 자전거 만들기...
그기에는 많은 난관이 기다리고 있었다.
또 균열이 생겼어. 뭐야 그 말투는!! 어떻게 된거야!! 여자들은 이런거 안살텐데..이제와서 뭔소리야!
부탁드립니다.
사나이들은 세계최초의 탑승기구를 만든다는 뜨거운 열의로 자전거만들기에 인생을 걸었다.
紀元前49年 古代ローマ。将軍カエサルは 元老院に立ち向かい運命を懸けルビコン川を渡った。
激動の21世紀。今こそ 大きな決断が求められている。
自転車業界に革命を起こし大きな売り場スペースを占めるのが電動アシスト自転車
現在15台に1台の自転車がこの電動アシスト自転車といわれ広く普及している。その魅力とは?
今や 世の主婦たちの生活に欠かせないものとなった電動アシスト自転車。その パイオニアとなったのが…
坂道などペダルをこぐのが大変なときに電動モーターが助けてくれる
画期的な自転車だった
自転車づくりを手がけたことがなかった ヤマハがなぜ このような自転車を作ろうと思い立ったのか?
性能の高さは もちろん若者を意識したスポーティーで洗練されたデザインが支持されてきた理由だ
しかし 1980年代に入ると状況が一変
主力だったオートバイの販売台数は半分以下にまで急落
夢の自転車づくり…
そこには 幾多の困難が待ち受けていた
また亀裂が入ったか。なんだ その言い方!どういことなんだ!女の人はこういうの買わないよね。今さら 何言ってるんですか!お願いします!
男たちは 世界初の乗り物を作りたいという熱き思いを胸に自転車づくりに人生をかけた
私がとる!藤田さん どうですか?たしかに おもしろそうだが…これ 商売になるかな?もう少し 考えてみて。わかりました。 失礼します。今までにない新しい事業ってないかなぁ?
オートバイの売り上げが低迷するなか新製品の企画開発を任されていたがこれといったアイディアも見つからず苦しんでいた
会社の軸となりうる新たな事業がヤマハ社内で早急に求められるなか…
一旦 止めて。はい。タイヤ とってくれ。
このとき 小山はある試作品の製作にとりかかっていた
お前たちには悪いな手伝ってもらって。今度 おごってもらいますよ。よいしょ!よし! できた!少し ぶかっこうだけどこんなんで どうかな?
小山たちが作りあげたのは
といっても 市販の自転車にありあわせのモーターや バッテリーなどをのせただけのものだった
すぐに小山は企画開発の責任者である藤田に見せた
これなんですが。電動モーター付き自転車です。はぁ? いつの間にこんなもの作ったんだよ?とにかく 一度乗ってみてもらえませんか?え?お願いします。いやいや ちょっと…。お預かりします。とにかく一度乗ってみてください。しようがないな。どうぞ。どうぞ。そうです。おっ!これは…。どうでしょう?まだまだ粗削りで乗ったときに違和感はあるがなんなんだ?この不思議な感覚は。ペダルを踏み込むとき電動モーターが作動してこぐ力を助けてくれる。人間とモーター2つの力を組み合わせたいわば ハイブリッド自転車です。ハイブリッド自転車?確かにスクーターとは明らかに違うが自転車なんだよな?そうです。ペダルをこがないと動きませんから。坂道を登るとき ペダルが重くなって押して歩く人も多いでしょう。それに こぎはじめのときも特に重い荷物を載せているときなんか ふらついて危ない。こいつなら自転車に乗ってるときに感じる不都合を解消してくれるとそう思ったんです。
小山が考えたシステムは略してPASと呼ばれた。その仕組みはペダルを踏む力をセンサーが感知し搭載したコンピューターが必要とする補助動力を計算。バッテリーの電力で電動モーターが補助動力を生み出しそれを後輪に伝えることで必要なときだけモーターが働く。確かに便利だな。人と機械の力を組み合わせたいわば人機融合とでも言ったらいいでしょうか。こんな乗り物世界のどこにもありません。ああ。 これなら免許証もヘルメットも必要ないだろうし気軽に乗れるはずだ。もしかしたらとんでもないものができるかもしれないぞ。よし。 この乗り物を俺たちの力で世に出そう。
(小山たち)はい。
藤田は 電動ハイブリッド自転車PASの開発を決断した
しかし このあと 予期せぬトラブルが次々と降りかかる
なんだ その言い方は お前。 おい。お前こそなんだ。いいかげんにしろ!今夜は世界初の乗り物電動アシスト自転車の誕生に秘められた決断のドラマなんですが私覚えてます。 あのCM。PAS PAS PASってすごい印象的でした。そうですよね。 さっき始まる前にちょっと乗ってましたけどもどうです?私も自転車大好きでよく乗るんですけど例えば お子さんがいらっしゃる方坂が多いところなんかに住んでらっしゃる方にはほんとに必要なものだと思います。今回の決断プレゼンターはジャーナリストの池上彰さんです。よろしくお願いいたします。よろしくお願いいたします。そして ゲストは日本のもの作り文化についていろいろな角度から研究されています。経営コンサルタントの川口盛之助さんです。よろしくお願いします。電動アシスト自転車。ずばり売れてるんですよね?売れてるんですよ。こちらご覧いただきたいんですが。見てみると2008年の自転車の国内市場です。およそ150億円を電動アシスト自転車が占めているんですね。ちなみに 1位のところに軽快車って書いてありますけどいわゆる通学だったり買い物で使うママさん型の自転車。普通の自転車。ああいう自転車ですね。それと比べてもかなりの割合だってことがわかりますよね。 14%。更にびっくりするデータがあります。こちらなんですけれどもこれ国内での出荷台数を比べたものなんですが黄色いほうの線が原付免許で乗れる50cc以下の原動機付き自転車。減ってるんですね。 どんどん。いわゆるスクーターですね。どんどん減ってきてるんですよ。で 2008年 注目していただくと電動アシスト自転車が電動アシスト自転車がついに逆転してるんですよ。池上さん。 なぜここまで電動アシスト自転車が売れるようになったんですか?オートバイや車に比べてエコであるというのがありますしそれから 自転車ブームですよね。健康ブームと。自転車はね。最近 東京都内でも前は電車に乗って行ってたのを自転車にしようっていう人意外に増えてるんです。私 それやったことあるんですけど私の自転車普通のマウンテンバイクなんですけどスタジオに着いたときに汗だくでとてもじゃないけどすぐ仕事ができない。1回シャワー浴びさせてくださいみたいな。これなら スイスイと。汗かかないわけですね。そういうことですね。 川口さん。これだけ普及してきた電動アシスト自転車なんですけど世界初の技術だけに開発は かなり大変だったんじゃないでしょうか?シーズアウトっていうんですけど技術者が興味を持ってこういうのが出来るんじゃないかというふうに生み出してきたそれで世の中に提案してったタイプの典型なんですよね。人力と電気力を…先ほど融合ってありましたけど。今でこそ ハイブリッドカーあれは 電気力とエンジン力の融合なんですよね。こういうふうに駆動系を2つ持ったものをバランスさせて動かすっていうのは非常に難しくてですね。ですから全自動で走るっていうほうがむしろ簡単っていう側面がありまして。全自動だとバイクになっちゃうんですか?そういうことですね。電動バイクっていうことに…。なるほど なるほど。それは繊細な技術ですね。あくまで自転車であるってところが ミソなんですね。ワクワクしないか?
まだ誰も見たことがない夢の自転車
ありがとうございました。失礼します。
ヤマハ発動機の藤田は会社の上層部に掛け合い電動アシスト自転車開発のためのプロジェクトチーム結成の承諾を得た。しかし 問題は山積みだった
こいつは ペダルをこいでるときの違和感が まだまだぬぐえない。普通の自転車のような もっと自然な乗り心地じゃないと駄目だ。あと バッテリーがすぐ駄目にならないよう寿命を もっと延ばす必要がありますね。あと フレームだな。はい。普通の自転車よりも もっと耐久性がないと駄目だと思います。
浮かび上がった課題は
自転車づくりのノウハウがないヤマハ発動機。その作業は困難が予想された
世界初夢の自転車づくりに向け藤田は 各パーツの専門家を集める必要があった
今から言うことは絶対に口外しないでほしいんだ。はい。これを ちょっと…。
開発プロジェクトは社外は当然のこと社内でも 一部の役員しか知らない極秘事項とされていた。藤田は人目のつかない場所を選んでは技術者に接触し一人ずつスカウトして回った
そして藤田には どうしてもプロジェクトに入れたい男がいた
明田君。藤田さん。 お疲れさまです。
明田久稔。 小型バイクの車体設計いわばフレームづくりに携わってきたスペシャリストだった
まったくのゼロからつくり上げていくという大変な仕事だ。でも ワクワクしないか?世界初の乗り物をつくるんだぞ。しかし 私にできるでしょうか?なにを弱気になってんだ。たしか明田君は新しいことがやりたくてヤマハに入ったって聞いてるぞ。どうだ やってみないか?わかりました。
こうして重要なフレームづくりの専門家がプロジェクトに加わった。そしてついに夢の自転車づくりが始動。開発拠点には 本社から車で5分ほど離れた場所にある倉庫があてがわれた
開発メンバーは総勢10人。社内の人間にも直通の電話番号を教えない超極秘プロジェクトだった
それゆえ 人目を忍んだ実験が夜ごと行われた。試作車を持ち出す際システム部分が見えないよう黒いダンボールで隠すという徹底ぶりだった
よし テスト始めようか。
やってきたのは静岡名産の お茶畑。坂道があり 人目が避けられる夜の茶畑の私道で乗り心地をチェックするどうだ?まだまだ違和感がありますね。具体的に言うとどんな感じなんだ?モーターからの力が遅れてくる感じなんです。自分のこぐ足とかみ合ってなくてゴツゴツした感じというか。ああそうか。ペダルを踏み込む力をコンピューターが処理する速度を変更する必要がありそうですね。今どれぐらいに設定してるんだ?0.1秒間隔です。
ペダルを踏む力の大きさを
それをモーターへと伝えるシステムになっていたが当初は その0.1秒間隔だと遅いってことか。その間隔をどれぐらいにすれば違和感がなくなるんでしょうね。違和感は数値では表せないしなぁ。悩んでてもしようがない。数値で出ないんなら信頼できるのは俺たちの感覚だけだ。とにかく乗って乗って乗り続けよう。
小山がコンピューターを調整しペダルの力を処理する速度を変更してはみんなで試乗を繰り返し乗り心地を確かめた
乗り心地を改善したい…その情熱はメンバーをこんな行動にまで駆り立てた。
自転車に乗った主婦のペダルばかりを丹念に監察し自転車をどのようにこいでいるのかを研究した
ちょっと! 何見てんのよ!あっ いや…。ふんっ!すみません。
こういったデータも参考にコンピューターを細かく調整しては私道で試乗を繰り返す。こうして違和感のない処理速度を求め続けること数か月
どうだった?やっぱり これじゃないですか?そっか…この速度は前にも試したがこれがいちばんしっくりくるってわけだな。よし じゃあ コンピューターの処理速度はこの0.01秒間隔に決めよう。はい!
こうして課題だった違和感のないスムーズな乗り心地を実現した
人間が
一方で バッテリーやフレームの開発も平行して行われた
よし 10キロ越えたぞ!はい。
バッテリーの課題1回の充電で走行できる距離をいかに伸ばすか。バッテリーを改良しては走行距離の限界を計測するためひたすら自転車をこぎ続けるという過酷な作業が繰り返された。更に…
何回 充電と放電を繰り返しても劣化しにくいバッテリーを作らないとな。
これは バッテリーの充電と放電を繰り返す機械。当初 10回程度の充電で駄目になっていたバッテリー寿命は徐々に改善された
しかし 一方でフレームづくりでは大きな壁が立ちはだかった。
これはデコボコ道をシミュレーションできる機械。ここに長時間のせ フレームの耐久性を調べていたのだが…
今度は もうちょっとスピード上げてみてくれ。あっ ちょっと止めてくれ!また亀裂が入ったか。この重みに耐えられるフレームなんてできるんでしょうか。
しかし 当時の試作車はモーターや5kg以上もあるバッテリーなどを搭載し重さは倍の
いくつものフレームがこの耐久試験の犠牲になった
もう少し フレームを厚くして強度を上げてみますか?それだと 重量も増えるだろう。これ以上車体全体が重くなったら気軽に乗れる自転車じゃなくなってしまう。
開発プロジェクトは どうなるのか?
ちょっといいか?え?もう少し バッテリーを軽くできないか?フレームが もたないんだよ。え?そんなに簡単に言わないでくれよ。走行距離も バッテリー寿命も延ばさなきゃいけないのにこれ以上軽くなんてできないよ!こっちだってベストなものを作ってんだ。フレームくらい自分で なんとかしてくれよ。フレームくらい? おい!なんだ その言い方は お前 おい!お前こそ なんだ!
己の腕に誇りを持った個性派集団ゆえその強い個性が衝突し合うこともしばしばだった
おい どうした?どうしたんだよ?明田が 俺のバッテリーにケチつけたんですよ!ケチつけてんのは そっちだろ!いいかげんにしろ!いいか?俺たちが作ろうとしてるのは世界初の乗り物だ。簡単にいくわけがない!まったく…。人と機械が力を合わせて動く自転車を作ろうとしてるのに肝心の人間同士がいがみあって どうすんだよ!まったく どうすりゃいいんだ…。チクショウ! あぁ!
ただでさえ 自転車づくりのノウハウがないのに求められるのは 普通の自転車以上に難しい フレーム作り
俺が 今まで やってきたことは活かせないのか…
追い詰められた明田はこれまで自分が関わってきたバイクに ヒントを求めた
そんななか ある1台のバイクに目を奪われる
そうか…。これ 今までのフレームと違うな。えぇ 頑丈なフレーム作りを考えたときにでこぼこ道でも対応しているオフロード用のバイクが参考になるんじゃないかと。そこで ひらめいたんです。自転車にもオフロード用のマウンテンバイクがあると。マウンテンバイク?えぇ。マウンテンバイクは だいたいハンドルから サドルにかけて2本のフレームで作られていてそれが 衝撃に対する耐久性を生み出してもいます。
明田は マウンテンバイクを参考に2本のフレームで コントローラーやバッテリーを挟み込むことで自転車の耐久性を上げようとしたのである
1本の太いフレームより2本の細いフレームなら重量も変わりませんし耐久性を上げることができるはずではないかと。それに これならスポーティーな山のイメージにもぴったりだと思いまして。いいんじゃないか。
ついに 新たな試作車が完成。今までとは違う マウンテンバイク型のスポーティーなデザインとなった
これまで 何度も泣かされてきた あの耐久試験
よし 止めてくれ!亀裂はありません。よし!
夢の自転車の完成まであと少しのはずだった。しかし このあと彼らを どん底に突き落とす大問題が起きる
世の中に 初めて電動アシスト自転車という乗り物が生まれようとしていますが販売するとなると実は 公道を走るためにクリアしなければならない壁があるんですよね。そうなんですよね。こちらを ご覧ください。道路交通法です。道路交通法 第2条に自転車の定義はこう書かれてるんです。ということは モーターが 補助動力になる電動アシスト自転車はこの定義に当てはまるかどうか問われることになるんですね。もし 自転車ではなくてバイクではないですかということになりますと免許ですとか ヘルメットが必要になりますよね。使い勝手が悪くなってしまうということなんですね。なるほど ということは気軽に乗れる乗り物として売るには 法的にも自転車として認めてもらう必要があるということなんですね。そこで ヤマハ発動機としては安全性を確保するための基準づくりを始めるんです。基準。まず ご近所の高校生や主婦やサラリーマンを対象にしてですね日常 どれくらいの速度で自転車をこいでますか?ということを 徹底的に調査したんですね。その結果 速度の上限として時速24キロを割り出したんです。上限ですか。つまり この速度が出るまではモーターが補助しましょうというひとつの目安をつくったんですね。それが こちらです。力が必要なこぎ始めでは人の力と同じだけの力をモーターが補助します。時速15キロからは 徐々にモーターの補助が弱まりまして時速24キロに達するとモーターが止まります。つまり 自転車として認めてもらうためにモーターが 人の力以上に働かないようにしてしかも 時速24キロのスピードまでしか補助しませんという基準案を考えたんですね。なるほどこの基準案を 警察庁などが認めて電動アシスト自転車は 自転車として販売できるようになったんですね。そうなんです。川口さん 電動アシスト自転車は日本だけのものですか?中国の場合は 電動バイクという全自動のやつが多いんですが原付のように 全自動の電気で動くバイク アシストじゃなくてそれは 免許がいらなくてなおかつ自転車専用道を走っていいと。今 おおよそ 2,000万台っていう2桁違う世界が向こうではもう…。あっという間に すごく数が増えちゃったんですね。日本は 電動アシスト自転車と全電動自転車っていうのははっきり分かれますね。そうですね。中国は?中国の場合はそこが ほとんど区別がない状態で両方とも 免許がいらないっていう状態ですね。ヨーロッパは 環境ブームってのがエコブームですねここ2~3年きてましてもう2~3年で3倍とか 2倍とかすごい勢いで伸びてて。自転車用の道がちゃんとありますよね ヨーロッパって。日本もちょっと 今そこは気がついてはいるんですがなかなか…。書いてある道もありますけどね。我々だから 自転車のレポートをしようと思うと撮影する場所にすごく困るんですよね。歩道 堂々と走って撮影するわけいかないし車道は車道で やっぱり危ないしってそれをね 道を探して歩くのに結構時間かかるってことありますからね。日本の道は 結構狭いところ多いので自分 車を運転してるときとか自転車怖いですもんね。ですから せっかくのアシスト自転車って言ってるのに政府が アシストしてくれないとせっかくの宝が 持ち腐れになってしまうというか。道路ですよ 道路。さて いよいよ 世界初電動アシスト自転車の商品化が近づきます。しかし 研究が振り出しに戻ってしまう大ピンチが襲ってきます。変えるって どこをですか?全部だ
開発は振り出しに戻ってしまうのか?
ヤマハ社内で
社をあげて 生産に向けて動き出した
これまで 極秘だった開発プロジェクトがついに 社内でオープンとなる
早速 他の部署の社員に乗り心地を確かめてもらうことにした
乗りやすい!
この社内試乗会は営業担当者からの強い要望を受けて行われたものでもあった
どうかな?これはすごいです!絶対売れますよ!来て 来て!
男性社員にはおおむね好評だった。ところが…
ちょっと乗ってみようかな。あれ? あれ?あのう これまたぎづらいんですけど。え?女性って スカートはくことも多いしこんなにフレームが高いと乗りづらいですよ。そうか…。これって 男性向けなんですか?いや メインのターゲットは 脚力の弱い女性と考えてるんだけど。その割には 見た目もなんとなく男っぽいっていうか…。そう 女の人は こういうの買わないよね。買わないよ やっぱり。
メインターゲットの女性から出てきたのは否定的な意見ばかり。男だけの極秘プロジェクトだったため女性に試乗させる機会を逸していたのだ
藤田さん 実は私も最初にこのデザインを見たときどうかと思ったんです。それで今回 社内試乗会を設けて女性たちの意見も聞いたらと思いまして。やはり 今のままでは広く 女性たちに受け入れてもらえそうにはないですね。ママチャリみたいに気軽に乗れるものじゃないと女性は買わないと思いますよ。ママチャリか…。
このときの試作車は一般的なママチャリタイプに比べ明らかに フレームが高く女性にとって乗りづらいものであった
今からデザインをやり直す…。いや そんなことしたら生産に間に合うわけがない。しかし 今の形は女性たちが求めているものではなくなっている…
藤田さん どうしたんですか?何かあったんですか?これから フレームのデザインを変える。え… 変えるってどこをですか?全部だ。全部って!?今のスポーティーなタイプからママチャリのようなタイプに変えてもらいたいんだ。俺たちは フレームの強度を追い求めるあまり肝心な女性ユーザーの使いやすさ乗りやすさを忘れていた。
藤田は 女性社員に試乗してもらったときの厳しい反応をプロジェクトメンバーに語った
ママチャリなんてそんなのヤマハらしくないです!ヤマハらしさって何だ?え…。このままでは我々は 乗ってほしい人たちが見向きもしてくれないんだぞ。乗ってもらえないものを作ることが ヤマハらしさなのか?生産日も決まってるのにまた いちからやり直しですよ。今から変更したら2か月…いや 下手したら3か月 遅れるかもしれません。全部変えるなんて無茶です!このままでいくべきです!
フレームを2本から1本に戻すのは 不可能に思えた
あの悪夢が明田の脳裏をよぎる
しかし
無理だと思われたフレーム改良を君はやり遂げたじゃないか。もう一度 やってくれないか。
明田はフレームの変更を受け入れた
新たなフレーム作りにとりかかるものの解決策などすぐに浮かぶはずもない
違うな。これだと強度が保てない。
フレーム変更の影響は生産開始の遅れだけではなく販売を見越して動き出していたさまざまな部署にまで及んだ
今更 何言ってるんですか!遅れた分だけ 売れるものをきちんと作ってみせます。我々を信用してください。お願いします!
何としてもこのプロジェクトを成功させたい。藤田は 会社のいたる部署に頭を下げてまわった
一方 明田は来る日も来る日もママチャリタイプにするための解決法を模索していた
そうか! 分ければいいんだ!
それは これまでの考え方を覆す
いったい そのアイディアとは?
みんな ちょっといいかな。新しいデザインを考えたんだけど。女性がまたぎにくいということでここのフレームをこういうふうに下げてみたんだけど。でも それじゃあコントローラーと電動モーターとバッテリーは一緒に収容できないだろう。そう。 だからバッテリーだけを離す。コントローラーなどの位置はほぼ そのままでバッテリーだけをサドルの下に持ってきたらどうかと思う。
明田は バッテリー部分を切り離してサドルの下に配置するデザインを思いついたのだ
この発想の転換こそが現在の電動アシスト自転車のスタンダードな形となったのである
これなら ここのフレームも下げることができる。バッテリーがなくなった分フレームへの負荷も軽減される。
その後 当初の予定からは遅れたものの世界初の電動アシスト自転車がついに 完成した
そして1993年7月。運輸省などから通達が出る。それは 電動アシスト自転車を自転車として 認めるというもの。幾多の困難を乗り越え夢の自転車が世に出ることとなった
こちらがヤマハPASの 最近のモデルです。そうですね。初代のモデルの場合は10時間の充電が必要で距離も 20キロほどしか走れなかったということなんですが最近のは やっぱり変わっていて4時間充電で標準モード66キロ走るんだそうですよ。66キロ!?普通に乗っているぶんにはまず 電池切れすることはないっていうことですよね。バッテリーは かなりよくなってきてるんですが木村さん ちょっとこれ外してもらっていいですか?はい! 外させていただきます。こうしてですね… ほっ!これは 軽いですね。これを 充電するんですね?大きさもやっぱり小さくなってますしね。もともとこのリチウムイオン電池というのは日本が発明したすばらしい技術なんですね。今でこそ 携帯電話とかパソコンですとかのバッテリーとして非常に重要なバッテリーになっていて。この手のものっていうのはもしかしたら 自転車に使われるのが 初めてですかね?そのとおりですね。こういう駆動系っていいますかパワーを出す系としては先鞭をつけたのはここだと思いますね。このPASで取り入れられました電動アシストという技術 考え方なんですけれども今では 実は医療だったり福祉の世界にも取り入れられていると…。何かというと こちらなんですが。これ 電動アシスト車椅子。これはいいですね。手で回す力をアシストしてくれてるんですね。これはいいですね。いいですよね。ちょっとした坂道を登るときやっぱり1人で車椅子って怖いですよね。そうですね。力も必要だし。ちょっと変わったところでいうとこういうものも開発されてます。筑波大学で開発された電動アシストのロボットスーツHALなんですよ。ちょっと着てみたいです。これを身につけることによって自分の この力をアシストしてくれるので例えば手足不自由な方 弱った方の階段の上り下りだったり椅子に 座ったり立ったりアシストしてくれるっていうのもありますし。さっき 0.01秒っていう話ありましたけどあれが ちょっとでも遅いとロボコップみたいにこうなっちゃうわけですよ。それを スムーズに動かすためにHALっていうやつもすごく早く応答するようになっているので滑らかに動くと…。これは 老老介護にいいんじゃないんですか?おっしゃるとおり。介護する側はこれを着ることによってちょっとした力仕事も楽になるってのもあるんですよね。だって 結構 老老介護だとお風呂とか 大変ですもんね。老老だけでなくて 若い人でも介護をすることによって腰を痛めたりあるわけですよね。そういう人にとっても非常にいいですよね。この アシストっていう技術自体は介護とか ハンディキャップのために作ってきた技術というのは全部 なりかわりますっていうんじゃなくて残存している能力をできるだけフル活用してあげるっていうのが基本的な哲学でして。足りない分だけを助太刀しますっていう非常に高い志があるわけですよね。やっぱり お年寄りはお年寄りで自分の力で動きたいんですよ。全部 人に任せてではなくて基本は 自分の力で動くんだよっていうことが実は 生き甲斐として大事なことなんだと思いますね。そうですね。ほんとに そうですね。では最後に こちらをご覧ください。
世界初の 電動アシスト自転車を世に送り出した
7年前に ヤマハ発動機を退職。現在の移動手段はもっぱら 電動アシスト自転車だ
電動アシスト自転車の発売から17年。藤田さんたちの想いは後輩にしっかりと受け継がれている
発売当初 ママチャリタイプだけだった電動アシスト自転車。今では スポーティーなタイプを始め豊富な種類を揃え近年の自転車ブームの牽引役ともなっている
それでは PASの試乗会を始めたいと思います。
たった3人から始まった夢の自転車づくり。その 飽くなき挑戦は今も続いている。
2010.02.05 Friday
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